ヤマハが「超汎用組立ライン」を導入

超汎用組立ラインとは

YAMAHA(ヤマハ発動機)といえば、常に最新のテクノロジーを導入してバイクの生産を行っていることで有名です。
このYAMAHAが、つい先ごろ「超汎用組立ライン」を導入し、話題になりました。
超汎用組立ラインが導入されたのは静岡県磐田市にある本社の組立工場で、従来のコンベア式に代わり、AGV(自動搬送車)が活用されています。

本社の組立工場では35モデル、1525品目の二輪車が生産され、世界94か国に供給されています。
ヤマハ発動機として年間で約479万台の二輪車を生産するうち、日本で生産されているのは全体の約4%の21万台です。
日本では高付加価値製品に絞った多品種少量生産を行っており、東南アジアなどの大市場とは一線を画しています。
コロナ禍によって需要が一時期減少したYAMAHAも、AGV自動搬送ライン「AGVバイパス方式」による超汎用組立ラインを活用して、バイクの生産を少しずつ増加させているのです。

従来のコンベアとの違い

YAMAHAでは、全長140mもの重厚長大なコンベア方式が従来は使用されていました。
同一車種を大量生産する場合や、工場の自動化が困難な地域での生産にはコンベア方式が向いていますが、1ラインでのロット数および車両サイズなどに制約があるのがコンベア方式のデメリットです。
これに対して、新たな超汎用組立ラインでは65cから1000ccに至る幅広いラインアップを同一の組立ラインで生産することが可能です。
このため、毎日全車種を生産するといったこともできるようになりました。

現在稼働しているのは、長さ2400mm、幅1300mm、高さ400mmのAGV135台です。
AGVは台車タイプで、床面に設置された磁気テープをトレースすることで自動走行が可能です。

AGVはヤマハのバイクだけではなくて、自動走行モビリティでも採用がされている技術です。
IDタグを読み込むことによって車両を判断し、組み付ける部品や治具の最適な準備を行ったり、組み付ける際の高さ調整なども自動で行えるのがAGVのメリットです。
工場内には走行ルート約50か所に非接触による急速充電が設置されており、少ないタイムラグで稼働することができるため、より高い生産性が得られるのもAGVのポイントです。

2023年から導入されたAGVはYAMAHAの自社開発で、ものづくりへのこだわりがひとつとなった現れとも言えます。
ロボティクス技術を駆使したYAMAHAのバイクで、ライディングを楽しんでみるのも一案です。
YAMAHAではさらに、国内初の自動運転EVを用いた無人搬送サービス提供も開始し、話題を呼んでいます。