OBD2義務化でバイクの価格が上がる!?

OBD2はオンボードダイアグノーシスの略称

人気の原付二種クラスであるホンダ・グロムが大きな進化を遂げました。
ロングストロークタイプ 排気量124㏄のエンジン、5速のトランスミッションとかなりグレードアップしています。
また外観もカスタマイズしやすくなっているので、ファンにとっては嬉しいことです。

しかし新型グロムはデビューした当初の希望小売価格からぐっとアップし、希望小売価格35万円(税抜)(デビュー当時は税抜き29万5,000円)となっています。
価格アップの要因はいくつかありますが、OBD2が採用されたことも価格アップの要因でしょう。

OBD「オンボードダイアグノーシス」は車載式故障診断装置のことで、排出ガス低減対策として世界を見ても導入が進んでいるシステムです。
エンジンなどの統合制御コンピューター「ECU」とつながり、エラーコードから故障原因を探ってくれます。

OBDは以前、自動車メーカーによって故障コード、接続コネクタなど形状が違いました。
しかしOBD2になり故障コードなどを共通化(国際規格コード)としたため、すでに国際規格として利用されています。
こうした規格の故障診断装置を採用している車両は、故障コードがルール化されているものが多く、汎用スキャンツールを利用して読み取ることも可能です。

二輪業界にも広がるOBD2の義務化

OBD2は四輪において「当たり前」の装備となっていますが、二輪にも義務化が広がっています。
いずれほとんどの二輪にOBD2が搭載されることが確定しているのです。

すでに新型車については2020年12月から義務化されていますし、継続生産車に関しても、2022年11月から義務化(原付一種は猶予有)となります。
排ガスの空燃比、窒素酸化濃度の測定を行い、触媒劣化検知を行うシステムも、新型は2024年12月から、継続生産車は2026年11月から標準化となります。
原付の場合、2種新型が2025年12月、継続生産車は2027年11月から標準化です。

OBD2で二輪の新車価格は上がる?

OBD2の搭載にはかなりのコストがかかることから、原付などについては猶予が与えられています。
低価格なバイクだったのにOBD2を搭載することで価格アップとなれば、市場に大きく影響を及ぼすことを考慮し猶予しているのでしょう。

ただ高度な制御を持っている大型バイクはもうOBD2が標準装備されていることもあり、この先、OBD2の義務化によって二輪の価格が上がることはどうしようもないことです。
しかし価格が上がるのであれば、メリットも欲しくなります。
OBD2を搭載することによってユーザーにどんなメリットがあるのかも理解が必要です。

OBD2を搭載すればトラブル原因の特定が早まる

OBD2を搭載することで価格アップは避けられませんが、エラーコードにより故障個所が可視化されますので修理がスムーズに進みます。
これは販売店など故障修理をする側へのメリットに感じますが、結果、整備にかかる時間も短くなり、トラブルを早期発見し早期対応できることはいいことです。

またOBD2はどんな車両にも設置できる汎用規格なので、アフターパーツが欲しいとき、車種専用よりもずっと安く利用できます。
OBD2を利用したカスタムを楽しみたい人にも自由度が広く、これもメリットといえるでしょう。