ユーロ5+規制がバイク業界に与える影響とは?

ユーロ5+規制がバイク業界に与える影響とは?

ユーロ5+(プラス)とは?

ここ数年、長年愛されてきたロングセラーモデルが相次いで生産終了となり、バイクファンを落胆させています。
その主な原因となっているのが、世界的に強化されている環境規制です。

欧州の排ガス規制ユーロ5は日本国内の令和2年排出ガス規制ともほぼ同等の内容で、すでに多くのモデルをカタログ落ちに追い込みました。
そして今、新たに適用が始まっているのが、その強化版であるユーロ5+(プラス)です。

プラスと付いていますが、実は排気ガスに含まれる有害物質の数値基準そのものが、ユーロ5から劇的に厳しくなるわけではありません。
最大の変化点は、車載式故障診断装置「OBD II(On Board Diagnosis)」の機能強化にあります。

具体的には、排ガスを浄化する装置である触媒(キャタライザー)が、走行によって劣化していないかを、バイク自身が常に監視し、異常があればライダーに警告する機能の実装が義務付けられます。

これまでは排ガスが基準値以下であればOKでしたが、これからは排ガス浄化システムが正しく機能しているかを、センサーで常に監視し続けなければならないという、非常に高度な技術的ハードルが課されることになるのです。
欧州では新型車に対して2024年から、継続生産車には2025年から順次適用される見込みで、グローバルモデルを展開する日本のメーカーも対応を余儀なくされています。

避けられない車両価格の上昇

この規制強化がユーザーに与える最も直接的な影響は、車両価格の上昇です。
触媒の劣化を監視するためには、マフラーの前後に新たなセンサーを追加したり、それを制御するためのECUをより高性能なものに変更したりする必要があります。

また、触媒自体も、劣化しても性能を維持できるよう、レアメタル(白金やパラジウムなど)の使用量を増やして耐久性を上げなければならないケースも出てきます。
走りの性能には直結しない環境対策パーツのコストは、そのまま車両価格に転嫁せざるを得ません。

特に、元々の価格が安い原付クラスや小排気量車にとっては、数万円のコストアップは致命的です。
バイクが高くなったと感じる背景には、原材料費の高騰だけでなく、このような環境規制への対応コストが大きく関わっているのです。

名車が消える?今買っておくべき理由

もうひとつの深刻な影響が、既存モデルの生産終了です。
メーカーは、莫大な開発コストをかけて規制に対応させるか、それとも採算が合わないと判断して生産を終了させるかの決断を迫られます。

特に、基本設計が古いエンジンや、販売台数が少ないニッチなモデルは、コスト回収が見込めず、ラインナップから姿を消す可能性が高くなります。
空冷エンジンなどの趣味性の高い機構も、触媒の温度管理が難しいため、存続が危ぶまれています。

一方で、これを機にプラットフォームの共通化が進み、より効率的で高性能な新型エンジンを搭載したニューモデルが登場するという側面もあります。

しかし、昔ながらの味わいを持ったバイクが減っていく流れは止められません。
もし現在、気になっているモデルがあり、それが基本設計の古い車種であるならば、いつか買おうではなく、新車で手に入るうちに購入を検討するのが賢明かもしれません。

規制は今後も段階的に強化されていきます。
欲しいバイクが買えるうちに買うことが、これからのバイクライフにおける最大の防衛策といえるでしょう。