西伊豆スカイラインを走る

西伊豆スカイラインを走る

伊豆の稜線を飛ぶように走る

伊豆半島には数多くの魅力的なドライブルートが存在しますが、その中でも最も空に近い道としてドライバーやライダーを魅了してやまないのが西伊豆スカイラインです。
戸田峠から土肥峠を結ぶ、全長約10.8kmのこの道路は、伊豆半島の西側の稜線を縦走する山岳ルートです。

かつては有料道路でしたが、2004年に無料開放され、現在は静岡県道127号船原西浦高原線の一部として誰でも自由に通行できます。

このルートの最大の特徴は、視界を遮るものがほとんどない、圧倒的な開放感です。
標高800m〜900m付近の高い位置を走るため、ガードレールと空しか見えないような区間も多く、まるで飛行機に乗って稜線の上を滑空しているかのような不思議な浮遊感を味わえます。

伊豆スカイラインや国道135号線といった東側のルートに比べて交通量が少なく、マイペースに走りを堪能できる穴場的な存在であることも、旅慣れた人々に愛される理由のひとつです。

富士山と海が織りなす大パノラマ

コーナーを抜けた先に現れる日本一の山

西伊豆スカイラインを走る最大の醍醐味は、そのダイナミックな景観です。
適度なアップダウンと、リズミカルに続く中高速コーナーは、運転する楽しさを存分に感じさせてくれます。

コーナーをクリアして視界が開けた瞬間に目に飛び込んでくるのが、駿河湾越しにそびえ立つ巨大な富士山です。
海に浮かぶように見える富士山の姿は、西伊豆エリアならではの絶景であり、特に空気が澄んでいる冬場や春先には、雪化粧をした神々しい姿をくっきりと望めます。

ルート上には戸田駐車場や土肥駐車場といった展望スペースが整備されており、愛車と富士山、そして眼下に広がる戸田港の美しい砂嘴(さし)を一枚の写真に収めることが可能です。

人工的な建物や電柱が極端に少ないため、大自然の中に道だけが一本通っているような、フォトジェニックな風景に出会えます。

クマササに覆われた緑の絨毯

景色が良いのは海側だけではありません。
道路の両脇には、背の低いクマササが群生しており、まるで緑の絨毯を敷き詰めたような穏やかな丘陵風景が続きます。

風に揺れるササの緑と、空の青、そしてアスファルトのグレー。
シンプルな色彩で構成された世界を走り抜ける時間は、日常の喧騒を忘れさせ、心身ともにリフレッシュさせてくれます。

走った後は名湯「土肥温泉」で汗を流す

西伊豆スカイラインを南下し、土肥峠を降りていくと、西伊豆エリア最古の温泉地である土肥温泉(といおんせん)へとアクセスできます。
江戸時代には金山で栄えたこの町は、現在では湯量豊富な温泉地として知られ、ドライブやツーリングの疲れを癒やすには最適の場所です。

日帰り入浴が可能な旅館や共同浴場も多く、露天風呂から駿河湾を一望できる施設もあります。
また、土肥は世界一の花時計があることでも有名ですが、何よりも夕陽の美しさが格別です。

西伊豆スカイラインで爽快な走りと富士山を楽しんだ後、土肥温泉で湯に浸かり、水平線に沈む夕陽を眺めて旅を締めくくる。
そんな贅沢な休日を叶えてくれるのが、西伊豆というエリアの魅力です。